第三十一席 新作講談は、やっぱり大変だー!でも音声入力に少し救われた!
昨日夕方、あるところで自分が作った新作講談を読みました。
いま、夕方5時半、ですからほぼ1日経ちましたが、いまだにちょっと放心状態です。
大学受験生が、後期試験も全て終えて、「あーやっと終わったぜ」とボーッとしている状態に近いかもしれないと思います。
いや、大学受験の大変さとは比べ物になりませんけどね。受験生の皆さん、すみません。
しかし、今回の講談は大変だったんです。
その新作講談が何とか形を成すまでの経緯を書き留めておきたいと思いました。
時系列に沿って、たらたらと書いていくことにします。
この記事も音声入力で書いています。
- 夏のある日、社史を講談にして欲しいと頼まれた
- 今まで、講談は作ったことがあったけれど・・・
- 音声入力と出会った
- 資料を読む
- 社史とはいうけれども、時代を絞ってしまおう!
- 黎明期、創成期の頃の事実を書き出す
- 友達に聞いてもらう
- ここもカット、ここもカット、ついでにここもカット!
- 仕上げは、誰かに聞いてもらう、カラオケで。
- そして本番
- そして思ったこと
夏のある日、社史を講談にして欲しいと頼まれた
LINEの履歴を見てみると、なんと4ヶ月前の7月初めに依頼を受けていました。
依頼してくれたのは高校同期で、私の講談も何回も聞いてくれている友達。
会社が50周年だから、50周年に因んだ講談を書いて、会社のOBの方が集まる会で読んで欲しいとのこと。
資料をたくさんいただき、一応ざっと目を通し、疑問に思ったところはLINEで何回か質問しました。
結局、その時にLINEで質問したようなことは、講談には一切含めなかったのですが、とにかく早く、手だけはつけとこうと思って、そういうことをしたんだと思います。
今まで、講談は作ったことがあったけれど・・・
これまで、自分で講談を書いたことは何回かありました。
その中で、何作かは師匠が読んでくださっています。
例えば歌をベースにして、その歌のタイトルや歌詞から妄想して書く、想像を膨らませて自由に書いた講談はあるのです。
これは、ただひたすら自由に作ればいいだけです。
それから、ママさんバンドの歴史を講談にしたこともあります。
こちらは、バンドのメンバーに2時間ほど自由に話してもらって、その録音をもとに10分ほどの講談にまとめました。
バンドのライブで講談を読んで、お客様にも喜んでいただきました(と思います)。
ママさんがバンドをやっているのですから、それだけでもまあまあ珍しいし、いろいろなアクシデントもあったことも聞き、書いていても面白かったのです。
しかし、今回は違いました。
実際に今ある会社の歴史を書くわけですから、妄想してはいけない。
そんなに面白くて楽しいこともない。
なんといっても、会社ですから。
頼んできた高校同期の友達にいろいろ質問して、早く手はつけたものの、
「どうしようかな、どうしたらいいんだろう」ということを、毎日必ず1回は考えているような日が、なんと2か月ほど続きました。
考えているだけで、書いているわけではない、もちろん書き進めているわけではない日が2ヶ月続いたわけです。
音声入力と出会った
依頼を受けたのが7月の始め、その同じ7月の終わりに、たまたま音声入力のことを知りました。
音声入力を強く勧めていらっしゃるブログを、全く偶然に読むことができたのです。
「こんなに凄いものがあるのか」
実際に、自分で音声入力をしてみると、当然のことながらあまりにも簡単に文字が出力されます。
「これは新作講談を作るときに使える」
そして、この音声入力を使って、社史の講談を作ることにしました。
資料を読む
しかし、音声入力をするためには、話の大体の流れをあらかじめ書き並べていくおく必要があります。
そこで、もう一度資料を読み直しました。
しかし読み直しても、一体、これはどういう風に料理すれば、聞いている人がちゃんと味わえるものが作られるのか、どうしても思いつかないのです。
新作講談を作るときに気をつけなくてはいけないのは、事実の説明、事実の羅列になってはいけないということだと、私は思っています。
講談のリズムで読んでいるのだけれども、単に事実を羅列しただけのものでは、聞いた人が「なんか聞いたけど、なんの話だったっけ?」ということになってしまうのではないでしょうか?
しっかりしたストーリーがないと、頭に残らない。
聞いた後に、頭の中が却ってゴチャゴチャになってしまうのです。
それでは、聞いてくれる人に申し訳ない。
いただいた資料の中に、何かエピソードとして脚色できそうなものはないかと探しました。
内容が理解できないところも多々あり、友達に問い合わせつつ、ジリジリしながら探しました。
久しぶりにあんなにジリジリしました。
「私の探しているものは、この資料の中にあるのか?」
「ないもの、探してるんじゃない?」
「とにかく、なんか、事件はなかったんかい!」
「これってオモロイでしょ〜ってこと、なんもなかったんかい⁈」
という感じです。
そりゃ、会社にはそんなものはない方がいい訳ですから、いいんですよ、ない方が。
「これは、いまいちだなあ」
「これはエピソードになるかもしれんけど、取り上げると長くなるなあ」
など、また、全く作業が進まない日が何日も続きました。
いや、作業は少しずつ進んでいるけど、先が見えない日がずっと続いていたということです。
社史とはいうけれども、時代を絞ってしまおう!
設立50年の会社の社史なので、最初、10年ごとに区切って、それぞれの10年の出来事をつづろうかとも思いました。
しかし、それでは多分、説明の羅列に事実の羅列になってしまう。
まして、講談の持ち時間は15分。
やはり時代は絞るべきだなと思っていたときに、友達が、仮のタイトルとして、「〇〇社の黎明期」というタイトルを考え、事前に公開してくれたのです。
そのタイトルをボーッと見ているうちに、
「あ、これ、いいじゃん!黎明期なら、多分、OBの方も直接ご存知ないだろう。『見てきたようなウソ』も少しは混ぜられるかも」
そう考えました。
黎明期、創成期の頃の事実を書き出す
資料の中から、黎明期、創成期の頃の出来事を抜き出し、記事の保存に本当に重宝しているEvernoteに音声入力で入れていきました。
この時に、ちょっと講談らしく読んで、音声入力するようにしたのです。
音声入力ですから、講談風に入れていくのもそう難しくありません。
うまくいけば、これで講談が出来上がるかもしれないとも思ったわけです。
しかし、そんな甘いもんじゃありません。
いまひとつぼんやりした内容にしかなりません。
私は、講談を覚えるときには、縦書きで、しかも字が大きめでないと頭に入らないので、Evernoteに書いたものを、大好きなボールペン、ジェットストリームの青でコピー用紙に、大きな字でザーッと書き写します。
書き写して音読してみたところ、やはり説明が多くなってしまっている。
そして同じことを繰り返している。
すっきりしていない。
一言で言えば、無駄が多い。
友達に聞いてもらう
ここは、ひとつ、友達に聞いてもらって、知恵を拝借しようと思いました。
一応、エピソードとしては、創成期の資金の調達、本格的業務スタートの様子を考えてはいたものの、そのエピソードが講談の中で「ちゃんと立っていない」と自分でも思っていました。
「立っていない」というのは、その箇所が聞いている人の印象に残らないということ。
他のところと同じように流れてしまうこと。
カラオケで、友達に聞いてもらった時に言われたのは、「冒頭がくどい」ということ。
エピソードよりも、冒頭のくどさが目立つ〜これはまずい、まずすぎる!
しかし、これでもう一回全部見直そう、やり直そう、出直そうと決めました。
しかし、もう既に本番の2週間ちょっと前です。
大丈夫か?
いや、「いつも、講談会の本番2週間前から稽古をがんばってるから、2週間あれば大丈夫!」と言い聞かせ、もう一度見直して覚えることにしました。
ここもカット、ここもカット、ついでにここもカット!
読み返してみると、冗長なところが本当に多い。
いや、書いたものなら、このぐらいで十分かもしれません。
しかし、聞いている人の頭の中にスーッと入って、
テレビでも見ているように場面が見えて、
そして講談らしさを感じてもらうには、
さらに小学生でもわかるような言い回しにするにはー
って多過ぎるでしょ、課題が。
とにかく、まず、カットできるところはカットする!
迷ったらカット!
その後に、もっといい言い回しはないか考える。
枕元にスマホを置いて寝て、朝、起きがけに、「こうやって言ったほうがいい!」と思いついたものを音声入力する!
本当に、こういう時に音声入力って便利ですよ。
半分寝ててもメモできる訳ですから。
筆記用具がなくてもメモできるって、すごい話。
仕上げは、誰かに聞いてもらう、カラオケで。
2週間、講談が気になって枕を高くして寝られませんでしたが、どうにかスッキリしてきたところで最後の仕上げです。
この仕上げがないと、とてもネタおろしは出来ません。
「すみません、明日、一時間ほどお時間ありませんか?」
講談をいつも聞きにきてくれて、比較的お時間のありそうな方にご連絡。
「新作講談を、ネタおろしの前に聞いていただきたいのですがー
ただ、古典講談ではなく、新作、しかも会社の話なんですが」
「いいわよー」
ありがたい!
カラオケ「まねきねこ」に行って、2回聞いていただきました。
(「まねきねこ」オススメです。フリードリンク、しかもドリンク、フード持ち込み可能(ただし、店にもよる〜ドリンクオーダー必須の店もあり))
iPadで録音して、うちに帰って聞き直し、さらに削ります。
そして、言い回しを変えたり、講談らし表現がもっと入れられないか工夫したり。
しかし、一回聞いてもらうと、「最後まで、台本見ないでできた!」という最低限持つべき自信は持てます。
そして、一回、誰かに聞いてもらうと、私は「少し高い木に登ったぜ」という気持ちになるのです。
ちょっとした達成感と、少し高いところから自分の講談を見て、手を入れるところが見つかった、手を入れてもう少しマシにできるという感じ。
また、今回は、録音したものを何回も聞きました。
普段は、まずそんなことはしません(した方がいいんですが)。
今回は少しでも講談らしくなるように、いつもよりも更にメリハリ付けて読むように、録音してチェックを繰り返しました。
そして本番
マクラでお客様を、つかまないといけません。
たとえつかめなくても、スベッてはいけません。
つかむ方法・・・
ここは企業秘密です。
ウソです。
「あ、言うの忘れた」という箇所が1箇所あったのですが、なんとか無事に終えることができました。
お客様が温かかったのと、温めておいたネタがウケたので、なんとか救われました。
そして思ったこと
新作講談は難しい、でも、エピソードを絞ればなんとかなる、早めにしぼってそれを膨らませる〜これでなんとかいける。
でも、次回また書くことになった場合は、同じように苦しむような気もします。
新作講談ならぬ古典講談も、できた時は新作だったわけです。
何年もかけて、余計なところが削ぎ落とされてわかりやすい講談になったんです。
だから、やはり古典講談を大切にする、ちゃんとやること、たくさん聞くことが、いい新作を作るためにも必要と、改めておもいました。
そして助けてくれたのは、やはり音声入力。
とりあえず、とっかかりは、資料を音読するだけでもいいわけです。
それで文章の形ができるわけだから、敷居が低い。
とにかく、声を出せばいいんだと思えることは、書き始めるという大きなハードルをかなり下げてくれます。
プロの方もおっしゃっているから間違いありません。
また、この本、読み返したくなりました。
音声入力を知ったことに、改めて感謝した新作講談。
次回、新作講談を作る機会があったら、資料をもらった時点で何か声に出して入れておこうと思います。
(音声入力5105字)