アマカン講談師の講談的ひとりごと

講談と講談師について、アマチュア講談師が気ままに語ります。

第十五席 講談のネタいろいろ

講談のネタと一口に言っても、いろいろです。

「講釈師 冬は義士 夏はオバケで飯を食い」
という言葉通り、
季節に合ったネタ

一年を通して出来るネタ
いろいろあります。

そして、ジャンルだっていろいろです。

私の好きなネタは、
いわゆる 「世話物」と呼ばれるジャンルには
入るものが多いようです。

怪談も世話物、
落語の人情噺に当たるものが
講談の世話物と呼ばれるジャンルに相当します。

以下、わたしの好きなネタです。

応挙の幽霊
西行鼓ヶ滝
牡丹灯籠

赤穂義士伝全般
大高源吾
赤垣源蔵
忠僕元助
楠屋勢揃い
岡野金右衛門
二度目の清書

レ・ミゼラブル
伊勢屋の黒助

般若のお作
妲己のお百

鉢の木

いろいろありますが、
赤穂義士伝、忠臣蔵は
やっぱり特別な感じがします。

私が持っている数少ない赤穂義士伝のネタでも、
読んでいる最中、
何か、ピシッとした気持ちになりますし、
何か、グッと来る瞬間もある訳です。

そして、
「昔の人の創作能力ってすごい!」と驚き、
感心するのです。

何百年も、細々とでも寄席や講釈場で読み継がれてきたネタ、
考えてみればずごいことです。

昔の大作家と呼ばれる人たちが書いた作品も同じことで、
果たして今のベストセラーのどれだけのものが、
何百年も先に読み継がれているのでしょうか?

歴史の長さに耐えることの出来た作品の力
古典講談を聞くと、昔の人の創作能力に
ひたすら感心するばかりです。


と言っても、いわゆる新作講談がキライな訳ではありません。
新作講談の中にも
聞いている者を夢中にさせるものがたくさんあります。

例えば、ミステリー講談などは、
情景が目の前に浮かんできます。

ミステリーと講談
この二つの相性は実にいいんですよね。
ただし、登場人物の関係がスッキリしていなくてはいけません。

講談は耳からの情報しか入ってきません。

「あれ?この人とこの人、どんな関係だっけ?」と
思ったら、
本でしたら、ページを戻して確認出来ますが、
講談では、それが出来ません。

ですから、
登場人物が少なめ
関係性がわかりやすい

というのが聞いている人にはありがたいですし、
私もそういい講談が好きです。

「レ・ミゼラブル」も講談にしたものがあります。
2代目神田山陽が前座の勉強会のために、
あの名作を講談仕立てにしたものなんです。

先生が引っ越す時に、台本の整理をしていたら、
「レ・ミゼラブル」の台本が出てきた、
私に「これは、学校で読むのにピッタリだと思うけど、
勉強しませんか?」と連絡があった訳です。

そりゃ習おうと思い、
まずは、先生が読まれるのを聞きました。

読み終わった時に、先生が一言
「さすが師匠だ。全くムダがない」
と仰ったのが印象的です。

その時は
「へー、そうなんだー」と思っただけでしたが、
確かにムダがないんです。

読む度に、余計な言葉がない
でも、描写すべきところはしっかり描写している
と感心します。

 

本日のところは、「講談のネタいろいろ」と題しました一席、これをもって読み終わりと致します。