アマカン講談師の講談的ひとりごと

講談と講談師について、アマチュア講談師が気ままに語ります。

第八席 デイサービスで講談

アマチュアで講談やっている人間は、
講談を読む場所を
探していかないといけません。

その点で、
私が非常に恵まれていたのは、
講談を始めた頃に働いていた場所が
高齢者のデイサービスだったということです!


デイサービスで働くまでは、
ロシア語の技術翻訳の仕事をしていました。

しかし、1991年にソ連が崩壊。

ロシア人が自由にビジネスを始めるようになり、
英語からロシア語への翻訳も
私たちの10分の1ぐらいの価格で
やり始めたんです


そもそも、
ロシア語の翻訳業界は世界情勢に
左右されがちだから、
常に不安定要素を抱えてはいるんですがー

しかし、
ソ連崩壊により、さらに翻訳業界が厳しくなったのです。

翻訳の仕事は好きでしたから辞めたくはなかったし、
まあ、細々と続けてもよかったんですが、

20年やったし、全く違ったことをやろうと、
保育士の資格を国家試験でゲット。

どこかで働こう
働くならとにかく給料のいいところ
という訳で

面接に行ったのが
保育士を募集していた
高齢者のデイサービスセンター。

なぜ、高齢者デイサービスが保育士を募集していたのか?

それは、デイサービスセンターに働きに来ている人の
お子さんの世話をしてもらうために
保育士を募集しましたということ。

しかし、今現在、
そのような小さいお子さんを連れて来ている人は
いない。

だから、あなたもヘルパーの仕事をしてみませんか?

こう言われて、
はい、わかりました
と、ヘルパーの資格を取ることにしたわけです。

そして、デイサービスで働くことになった訳です。

デイサービスでは、
いらしている高齢者の皆さんのために
毎日、レクリエーション時間を用意します。

昼食を食べて、ちょっとのんびりした後に
1時間ほど、
ボーリングゲーム
輪投げゲーム
サッカー のようなゲームなど

リハビリテーションも兼ねて
体を動かす感じ。

その時間に、
踊りや歌のボランティアの皆さんにも
いらしていただいたりする訳です。

そして、
その時間に、私が講談を読ませていただくということがあった訳です。

高齢者の方々は、昔、
ラジオで講談を聞いたことがあったり、
寄席に聴きに行ったことがあったり、

もちろん、若い人たちよりは
講談に馴染みがある訳です。

ですから、私が読む講談も喜んで聞いてくださいました。

なにぶん、昼食後の眠い時間帯ですから、
半分お休み状態の方もいらっしゃいましたが、
でも、皆さん、大体聴いて下さっていて
内容も理解されていたー

私は、この職場でもあったデイサービスで、
ずいぶん講談を稽古させていただいたと思います。

講談は、プロの講談師の前で読むのも稽古ですが、
実は、人の前で聴いていただくというのが、
最高の稽古になるんですl

プロの落語家さんも仰ってました。
「生き物の前でやるい勝る稽古はない」と。

講談を稽古する、演じる場所を探さなくても、
自分の職場であるデイサービスで稽古が出来たというのは
返す返すもラッキーでした!

ほんと、いろいろなところで
講談、勉強させてもらっています!

本日のところは、「デイサービスで講談」と題しました一席
これをもって読み終わりと致します。