アマカン講談師の講談的ひとりごと

講談と講談師について、アマチュア講談師が気ままに語ります。

第九席 学校の読み聞かせは講談を

息子が中1の時に将棋センターに連れて行ってやり
時間つぶしのためにたまたま入った寄席で
たまたま講談を聴いた時に


「すごい、私もやりたい!」
「そして、いつかは、小学校の読み聞かせの時間を講談にしたい」

そう思ったのです。

そして、今その通りになっています。


息子が小学校五年生の頃に、クラスのお母さんのNさんから
「今度、学校で朝の時間に子どもたちに読み聞かせを
する活動を始めようと思うんだけど、
一緒にやらない?」

誘われたら一度は乗ってみると決めているので、
「参加します」と手を挙げました。

一日のパワーのもとになる朝のスープのようになろう〜
ということだったと思うんですが、
モーニングスープ と名付けた読み聞かせの活動が始まりました。

今では、このお母さんの読み聞かせの活動、
いろいろな学校で行われるようになりましたが、

息子の学校はかなり早い時期に
この読み聞かせ活動を始めたような気がします。


月に1〜2回 当番が回ってきて、
私は息子のいた五年生や六年生のクラスを中心に回りました。

講談を始めるまでは、
小泉八雲の「むじな」という怪談

「はだしのゲンはピカドンを忘れない」

有島武郎の
「溺れかけた兄妹」
など、

今 考えると、
一日のパワーのもとになる朝のスープ
のようなものを選んでいなかったような気がします(汗)

しかし、子どもたちは真剣に聴いてくれて
私も読み聞かせの時間を楽しみにしていました。


そして、「溺れかけた兄妹」を講談で覚えて、
初めて子どもたちの前で
読むことになったわけで、実際読んだんですが、

なんと、その時のことは全く思い出せないのです。
間違いなく子どもたちの前で読んでいるのですがー。

そして、たまたま覚えることになった講談
「応挙の幽霊」

しかし、これも
初めてやった時のことは思い出せないのです(笑)

でも、
クラスのお母さんに
「娘が、すごい話聴いた!って興奮して話してたー。」
と言われた時に、

「応挙の幽霊」は、
古典講談で、
古典講談と言えば難しそうだけど、
子どもにもちゃんと通じる

いや、通じるどころか、
面白く聴いてくれる
感動してくれるんだ
そう思った訳です。

さあ、そうなりますと、
もう、私の読み聞かせの時間は
講談の時間ということになります。

六年生のクラス、
全クラスで「応挙の幽霊」読みました。

学校の近くを私が自転車で通ると
「あ、幽霊のおばちゃんだ」
などと言われることもしばしば。

そんなある一日のこと、
六年生のあるクラスで
また講談「応挙の幽霊」を読み進めたところ、

クライマックスで、一番前の席の女の子が
隣の席の男の子に
小声で何かを聞いている。

男の子が首を振ると、
女の子、いきなりスクッと立ち上がり、
教室の後ろのロッカーまで歩いていきます。

ランドセルからティッシュを取ってくると
目を真っ赤にして鼻をかんでいる。

講談に何かを感じて泣いてしまったのです。

これには驚きました。

そして、小学生にも古典講談は十分に通じる
これからも子どもたちに
どんどん講談を読んでいこうと決めた訳でございます。

本日のところは、
「学校の読み聞かせは講談を」と題しました一席、
これをもって読み終わりと致します。