アマカン講談師の講談的ひとりごと

講談と講談師について、アマチュア講談師が気ままに語ります。

第十一席 学校の講談はみんなで楽しもう

小学校での講談授業は、
まず、なんと言っても大切なのは、つかみ!

笑ってもらって、
こちらに近づいてもらって、
それからまず一席の講談。

だいたい、私は、子どもたちにとって、
今までみたことのない
着物を着た得体の知れないおばさん。

一度、ある塾に呼ばれた時に、
着物を着た私を見た生徒さんが
「あ、江戸時代の人だー」


ですから、学校では、
まず生徒の気持ちをこちらに向かせる・・・

わかりやすく言えば、
笑ってもらう。

幸いにして、私の名前が非常に珍しい名前で、
だいたい呼んでもらえないので、
黒板に、名前を書いて

「これ、読める人〜😄😄😄」
と言った時点で、既にこちらを向き始めてくれる。

活発な男の子は、
何度もいろいろな名前で攻めてきてくれます。

盛り上がったところで、正解を披露。

そして、講談に入って行きます。

五年生は
「レ・ミゼラブル」「応挙の幽霊」
六年生には
「西行鼓ヶ滝」
「伊勢屋の黒助」(こちらは池波正太郎原作)

「レ・ミゼラブル」は、
かなり有名なシーンを2代目神田山陽が
講談に仕立てたもの。

これは本当にムダのない、わかりやすい講談だと思います。
子どもたちもグッと入ってくるのがわかります。

そして、二席目の「応挙の幽霊」を読む前に
何か話す訳です。

というのも、
講談二席で30分、
授業時間は45分

講談だけでは終われない訳です。

そこで、一席目を読んだ後に
一番前の列の席の生徒さんに、
「教科書貸してください」

生徒さん、喜んで貸してくれます。
頼んでいない隣の生徒さんまで、机の中をゴソゴソします。

何の教科でもいいのですが、
教科書を開いて、
思いきり一本調子で読みます。

「音読の宿題 でてるでしょー
こういうふうに読んだら、
聞いてくれてるお母さん、退屈するよねー」

一本調子が結構面白いらしく、クスクス笑う子もいる。

「じゃあ、本を読む時って何に気をつければいいと思う?」

「大きな声で読む!」

それから、
「ここの◯には、なんていう字が入りますか?
これも大事!」と言って
黒板に

「◯リ◯リ」と書きます。

今までの珍答・・・

ノリノリ
パリパリ
グリグリ


正解は、メリハリ ですが、
ノリノリ もなかなかいいんじゃないかと思います(笑)

話を聞いてもらう時には
「メリハリ」をつけて〜

講談も、メリハリをつけて読んでまーす
ということを話します。

それでも二席目までの時間があるので、
講談に使う小道具の説明、

手拭いを出して
「これ、何ていうか知ってますか?」

だいたいは、手拭いと答えてくれますが、
一度、中学校三年生のクラスで
「布切れ」という珍答をいただきました〜

こんな風に遊んで(笑)いるうちに時間が経って、
「それでは、二席めの講談を読みます」という時間になります。

二席目を読み終わったところで、ちょうどチャイムが鳴る感じです。

最後に、
「皆さん、寄席に行ってみてねー。
結構、楽しめますよー。」と締めます。


感想をいただくこともあり、
先生から「楽しませていただきました」と言われますが、

実は、私はが一番楽しんでいるという、
「学校の講談はみんなで楽しもう」という一席
これをもって読み終わりと致します。